第1節 収用又は使用に因る損失の補償(第68条―第90条の4)/土地収用法


(昭和二十六年六月九日法律第219号)

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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十四年十二月二十日法律第191号(未施行)
平成十五年六月二十日法律第100号(未施行)
平成十五年七月二十四日法律第125号(未施行)
 

    第1節 収用又は使用に因る損失の補償

(損失を補償すべき者)
第68条  土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。

(個別払の原則)
第69条  損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別にしなければならない。但し、各人別に見積ることが困難であるときは、この限りでない。

(損失補償の方法)
第70条  損失の補償は、金銭をもつてするものとする。但し、替地の提供その他補償の方法について、第82条から第86条までの規定により収用委員会の裁決があつた場合は、この限りでない。

(土地等に対する補償金の額)
第71条  収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

第72条  前条の規定は、使用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額について準用する。この場合において、同条中「近傍類地の取引価格」とあるのは、「その土地及び近傍類地の地代及び借賃」と読み替えるものとする。

(その他の補償額算定の時期)
第73条  この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。

(残地補償)
第74条  同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
 前項の規定による残地又は残地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額については、第71条及び第72条の例による。

(工事の費用の補償)
第75条  同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。

(残地収用の請求権)
第76条  同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用することに因つて、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、土地所有者は、その全部の収用を請求することができる。
 前項の規定によつて収用の請求がされた残地又はその上にある物件に関して権利を有する関係人は、収用委員会に対して、起業者の業務の執行に特別の支障がなく、且つ、他の関係人の権利を害しない限りにおいて、従前の権利の存続を請求することができる。
 第1項の規定によつて収用の請求がされた土地に関する所有権以外の権利に対しては、第71条の規定にかかわらず、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した権利取得裁決の時における相当な価格をもつて補償しなければならない。

(移転料の補償)
第77条  収用し、又は使用する土地に物件があるときは、その物件の移転料を補償して、これを移転させなければならない。この場合において、物件が分割されることとなり、その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その所有者は、その物件の全部の移転料を請求することができる。

(移転困難な場合の収用請求権)
第78条  前条の場合において、物件を移転することが著しく困難であるとき、又は物件を移転することに因つて従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その所有者は、その物件の収用を請求することができる。

(移転料多額の場合の収用請求権)
第79条  第77条の場合において、移転料が移転しなければならない物件に相当するものを取得するのに要する価格をこえるときは、起業者は、その物件の収用を請求することができる。

(物件の補償)
第80条  前2条の規定によつて物件を収用する場合において、収用する物件に対しては、近傍同種の物件の取引価格等を考慮して、相当な価格をもつて補償しなければならない。

(原状回復の困難な使用の補償)
第80条の2  土地を使用する場合において、使用の方法が土地の形質を変更し、当該土地を原状に復することを困難にするものであるときは、これによつて生ずる損失をも補償しなければならない。
 前項の規定による土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額については、第71条の例による。

(土地の使用に代る収用の請求)
第81条  土地を使用する場合において、土地の使用が三年以上にわたるとき、土地の使用に因つて土地の形質を変更するとき、又は使用しようとする土地に土地所有者の所有する建物があるときは、土地所有者は、その土地の収用を請求することができる。但し、空間又は地下を使用する場合で、土地の通常の用法を妨げないときは、この限りでない。
 前項の規定によつて収用の請求がされた土地に関して権利を有する関係人は、収用委員会に対して従前の権利の存続を請求することができる。
 前項の規定による請求があつた権利については、起業者がその権利の使用の裁決の申請をしたものとみなして、第1項の規定に基づく請求に係る裁決とあわせて裁決するものとする。

(替地による補償)
第82条  土地所有者又は関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者及び第8条第4項の規定により関係人に含まれる者を除く。以下この条及び第83条において同じ。)は、収用される土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の全部又は一部に代えて土地又は土地に関する所有権以外の権利(以下「替地」と総称する。)をもつて、損失を補償することを収用委員会に要求することができる。
 土地所有者又は関係人が起業者の所有する特定の土地を指定して前項の規定による要求をした場合において、収用委員会は、その要求が相当であり、且つ、替地の譲渡が起業者の事業又は業務の執行に支障を及ぼさないと認めるときは、権利取得裁決において替地による損失の補償の裁決をすることができる。
 土地所有者又は関係人が土地を指定しないで、又は起業者の所有に属しない土地を指定して第1項の規定による要求をした場合において、収用委員会は、その要求が相当であると認めるときは、起業者に対して替地の提供を勧告することができる。
 前項の規定による勧告に基いて起業者が提供しようとする替地について、土地所有者又は関係人が同意したときは、収用委員会は、替地による損失の補償の裁決をすることができる。
 第3項の規定による勧告があつた場合において、国又は地方公共団体である起業者は、地方公共団体又は国の所有する土地で、公用又は公共用に供し、又は供するものと決定したもの以外のものであつて、且つ、替地として相当と認めるものがあるときは、その譲渡のあつ旋を収用委員会に申請することができる。
 前項の規定による申請があつた場合において、収用委員会は、その申請を相当と認めるときは、国又は地方公共団体に対し、替地として相当と認めるものの譲渡を勧告することができる。
 起業者が提供すべき替地は、土地の地目、地積、土性、水利、権利の内容等を総合的に勘案して、従前の土地又は土地に関する所有権以外の権利に照応するものでなければならない。

(耕地の造成)
第83条  土地所有者又は関係人は、前条第1項の規定による要求をする場合において、収用される土地が耕作を目的とするものであるときは、その要求にあわせて、収用される土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金に代る範囲内において、同条第7項の規定の趣旨により、替地となるべき土地について、起業者が耕地の造成を行うことを収用委員会に要求することができる。
 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、権利取得裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、耕地の造成による損失の補償を替地による損失の補償にあわせて裁決することができる。
 前項の場合において、起業者が国以外の者であるときは、収用委員会は、必要があると認めるときは、同時に起業者が耕地の造成のための担保を提供しなければならない旨の裁決をすることができる。
 前項の規定による担保は、収用委員会が相当と認める金銭又は有価証券を供託することによつて、提供するものとする。
 起業者が工事を完了すべき時期までに工事を完了しないときは、土地所有者又は関係人は、収用委員会の確認を得て前項の規定による担保の全部又は一部を取得する。この場合において、起業者は、収用委員会の確認を得て耕地の造成による損失の補償の義務を免かれるものとする。
 起業者は、工事を完了したときは、収用委員会の確認を得て第4項の規定による担保を取りもどすことができる。
 前2項の規定による担保の取得及び取りもどしに関する手続は、国土交通省令で定める。

(工事の代行による補償)
第84条  第75条の場合において、起業者、土地所有者又は関係人は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを収用委員会に要求することができる。
 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、明渡裁決において工事の内容及び工事を完了すべき時期を定めて、工事の代行による損失の補償の裁決をすることができる。
 前条第3項から第7項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第3項及び第5項中「耕地の造成」とあるのは、「工事の代行」と読み替えるものとする。

(移転の代行による補償)
第85条  第77条に規定する場合において、起業者又は物件の所有者は、移転料の補償に代えて、起業者が当該物件を移転することを収用委員会に要求することができる。
 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、明渡裁決において移転の代行による損失の補償の裁決をすることができる。

(宅地の造成)
第86条  第77条の規定により建物を移転しようとする場合において、移転先の土地が宅地以外の土地であるときは、土地所有者又は関係人は、第71条、第72条、第74条、第80条の2及び第88条の規定による損失の補償の一部に代えて、起業者が宅地の造成を行うことを収用委員会に要求することができる。
 収用委員会は、前項の規定による要求が相当であると認めるときは、権利取得裁決又は明渡裁決において工事の内容を定めて宅地の造成による損失の補償の裁決をすることができる。

(請求、要求の方法)
第87条  第76条第1項及び第2項、第77条から第79条まで並びに第81条第1項及び第2項の規定による請求、第82条第1項、第83条第1項、第84条第1項、第85条第1項及び前条第1項の規定による要求は、第43条第1項(第47条の4第2項において準用する場合を含む。)若しくは第63条第2項の規定による意見書又は第65条第1項第1号の規定に基いて提出する意見書によつてしなければならない。ただし、第76条第1項及び第81条第1項の規定による請求は、第43条の縦覧期間前においても、その請求に係る意見書を収用委員会に提出することによつてすることができる。

(通常受ける損失の補償)
第88条  第71条、第72条、第74条、第75条、第77条、第80条及び第80条の2に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。

(損失の補償に関する細目)
第88条の2  第71条、第72条、第74条、第75条、第77条、第80条、第80条の2及び前条の規定の適用に関し必要な事項の細目は、政令で定める。

(損失補償の制限)
第89条  土地所有者又は関係人は、第26条第1項の規定による事業の認定の告示の後において、土地の形質を変更し、工作物を新築し、改築し、増築し、若しくは大修繕し、又は物件を附加増置したときは、あらかじめこれについて都道府県知事の承認を得た場合を除くの外、これに関する損失の補償を請求することができない。
 土地の形質の変更、工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕又は物件の附加増置がもつぱら補償の増加のみを目的とすると認められるときは、都道府県知事は、前項に規定する承認をしてはならない。
 土地の形質の変更について、土地所有者又は関係人が第28条の3第1項の規定による許可を受けたときは、第1項の規定による承認があつたものとみなす。

(起業利益との相殺の禁止)
第90条  同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用する場合において、当該土地を収用し、又は使用する事業の施行に因つて残地の価格が増加し、その他残地に利益が生ずることがあつても、その利益を収用又は使用に因つて生ずる損失と相殺してはならない。

(補償請求者に関する特例)
第90条の2  第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求があつた土地又は土地に関する所有権以外の権利については、第71条中「権利取得裁決の時」とあるのは、「第46条の4第1項の規定による支払期限」とする。

(差額及び加算金の裁決)
第90条の3  第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求があつた場合においては、収用委員会は、権利取得裁決において次に掲げる事項について裁決しなければならない。
 起業者が土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金として既に支払つた額を、その支払時期に応じて第71条に規定する修正率の例により算定した修正率によつて第46条の4第1項の規定による支払期限における価額に修正した額
 前条の規定により読み替えられた第71条の規定によつて算定した補償金の額と前号の額とに過不足があるときは、起業者が支払うべき補償金の残額及びその権利者又は起業者が返還を受けることができる額及びその債務者
 支払を遅滞した補償金に対する加算金
 前項第3号に掲げる加算金の額は、第46条の4第1項の規定による支払を遅滞した金額について、その支払を遅滞した期間(裁決の時までに支払われなかつた金額については、裁決の時までの期間)の日数につき、次の各号に定めるところにより算定した額とする。
 遅滞額が前条の規定による補償金の額の二割以上である期間年 十八・二五パーセント
 遅滞額が前条の規定による補償金の額の二割未満一割以上である期間 年十一パーセント
 遅滞額が前条の規定による補償金の額の一割未満である期間 年六・二五パーセント

(過怠金の裁決)
第90条の4  起業者が第39条第2項の規定による請求を受けた日から二週間以内に収用又は使用の裁決の申請をしなかつた場合においては、収用委員会は、権利取得裁決において、起業者が、土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利を有する関係人に対し、それらの者が受けるべき補償金の額につき年十八・二五パーセントの割合により裁決の申請を怠つた期間の日数に応じて算定した過怠金を支払うべき旨の裁決をしなければならない。

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